株主・投資家の皆様には日頃より格別のご支援を賜り厚くお礼申し上げます。
2021年3月期の電子事業のうち国内基板に関しましては第3四半期から産業機器他の需要が回復し、医療機器・インフラ関連を中心に増収となった一方、アミューズメント機器・事務機器等、新型コロナウイルス感染症の影響による販売の低迷もあり、国内電子事業全体においては減収となりました。また海外基板事業に関しましても第3四半期より車載機器の急激な受注回復が続きましたが、第2四半期までの低迷を補填するまでには至らず減収となりました。
なお足元の受注環境は順調に回復してきております。
このような環境下のもと、電子事業全体の売上高は前年同期比11.7%減の36,263百万円と減収となりました。
セグメント利益に関しましては、減収下において生産効率の更なる改善や経費の削減活動による収益改善により前年同期比19.2%増の1,547百万円となりました。
工業材料事業におきましては、前年度から続く米中貿易摩擦に新型コロナウィルス感染拡大が加わり、特に前半は自動車および鉄鋼関連産業の低迷の影響が大きく、例年は年度の後半に伸びる公共事業・建設関連向けも工事着工の繰り延べ傾向が顕著となりました。都市インフラ関連や原料仕入れ販売等一部の製品・商品に堅調なものもありましたが、全般に販売は伸びなかった一方で、経費の圧縮や減価償却費の減少が収益下支えに寄与しました。その結果、売上高は前年同期比11.2%減の10,753百万円、セグメント利益は前年同期比8.0%減の819百万円となりました。
当社グループは、「製造業を手段とし、サービス業を目的とする」を経営理念とし、電子事業、工業材料事業を営んでおります。電子事業においては「TSP(トータル・ソリューション・プロバイダー:完全一貫支援体制)」企業として、工業材料事業においてはお客様の「ものづくり」にとって不可欠な企業として、スピードと創意工夫により「顧客満足度の向上」と「付加価値の増大」に努め、企業価値を高めることが使命と考えております。
今後の国内電子事業におきましては、当社独自の「ワンストップソリューション」(プリント配線板の設計・製造・実装から意匠・機構部品加工・組立までを内製)の機能をベースに、引き続き国内の少量多品種領域における拡販やコスト競争力の強化を図ってまいります。海外では主にタイ工場の生産性向上や品質改善に努めることにより収益力の強化に取り組んでまいります。
また工業材料事業におきましては、既存商品の拡販、品質改良とコスト競争力の強化に継続的に努めるとともに、将来の基幹製品を育成すべく、長年培ってきた無機鉱物に関するノウハウと生産設備を活用した新販路の開拓・新製品の導入やシナジーの期待できる企業との提携による業容の拡大に取り組んでまいります。
中期的には次世代通信規格(5G)を背景とした、基地局等のインフラ整備や車載市場におけるADAS搭載、IoT等、様々な分野で市場拡大が見込まれており、これらの市場に対する新製品の技術開発・製造技術体制の強化により技術競争力の向上を図り、効率的な投資を実施しながら試作分野からの取込・拡販を行い収益性の向上を目指してまいります。また短期的には、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による経済活動への影響に注視し、適宜計画の見直しと必要な施策を実施してまいります。
引き続き一層のご支援を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
代表取締役社長 森 清隆